“増やす”より”守る”。退職金・年金で暮らす親の資産を子世代が守る方法【2026年】

ゆたかお金
この記事は約20分で読めます。
スポンサーリンク
SBI証券[旧イー・トレード証券]

こんにちは、いろどりゆたかです。

私の両親は、どちらも定年退職をしました。40年以上、自分の趣味の時間も取らずに必死に働いてきたことは、言うまでもありません。私たち兄弟3人を立派に育て上げ、大学にも行かせてくれた。本当に感謝しかありません。老後は、自分たちのためにお金を使って、不自由なく暮らしてもらいたい——素直にそう思います。

そんな中で、ふと胸をよぎるのが「親の退職金、大丈夫かな」という不安です。実は先日、わが家の父が、ある訪問営業にうっかり判を押しかけました。相手は悪い人には見えなかったそうです。だからこそ、怖い。退職後の資産は、”増やす”より先に”守る”。この記事は、退職金・年金で暮らす親を持つ、私たち子世代のための「守り方の地図」です。

先に結論をお伝えします。退職後のお金は、利回りを追うより、減らさない・奪われないことのほうが、はるかに効きます今日は、公的機関のデータをもとに「なぜ守りが大切か」「どんな入口で狙われるのか」「子世代が今日からできること」を、順番に整理します。読み終えるころには、この週末に実家で何を話せばいいかが見えているはずです。

  1. なぜ今、「増やす」より「守る」なのか
    1. ① 退職金そのものが、昔より減っている
    2. ② 高齢世代は、消費者トラブルの当事者になりやすい
    3. ③ 詐欺被害は、過去最悪の水準
  2. 親世代の資産が狙われる「5つの入口」
    1. 入口①|退職金をあてにした不動産・賃貸経営の勧誘
    2. 入口②|相続税対策として勧められる変額保険・外貨建て保険
    3. 入口③|オフショア保険(海外の保険商品)の勧誘
    4. 入口④|手数料の高い投資信託・ラップ口座
    5. 入口⑤|訪問販売・電話勧誘
  3. 実際の相談事例は、公的サイトで見られます
  4. なぜ退職後は「狙われやすい」のか
  5. 子世代が今日からできる「守る」4ステップ
    1. ステップ1|お金の”在りか”だけ、ゆるく共有しておく
    2. ステップ2|相談窓口を、親のスマホに登録しておく
    3. ステップ3|「大きな契約は、その場で決めない」を家族のルールに
    4. ステップ4|”増やす”なら、シンプルで低コストに
  6. 「守る」の最終形は、シンプルで低コスト
  7. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 親がすでに契約してしまいました。もう解約できませんか?
    2. Q2. 親の判断力の低下(認知症など)が心配です。どう備えれば?
    3. Q3. 遠方に住んでいて、頻繁に会えません。できることは?
    4. Q4.「うちの親に限って大丈夫」と思ってしまいます。
    5. Q5. 結局、退職金はどうするのが正解ですか?
  8. まとめ|親の資産を守ることは、いちばん静かな親孝行
    1. あわせて読みたい
    2. この記事の出典(一次情報)
    3. 🐾 ラッフィに質問してみよう!

なぜ今、「増やす」より「守る」なのか

理由は3つ、いずれも公的なデータが示しています。

① 退職金そのものが、昔より減っている

退職金が実際いくらもらえるのか、現役の子育て世代はあまり考えたことがないかもしれません。私たちにとっては、住宅ローンや教育費のほうがよっぽど身近な心配事ですからね。それでも、親世代の退職が近づいたり、すでに退職金を受け取ったという話を聞くと、2つの心配が頭をよぎります。1つは「退職金と年金で、生活は送れるのだろうか」。もう1つは「その退職金や年金を、ちゃんと守れているのだろうか」。父は「うちには騙し取られるようなお金はないから」とよく口にしますが、そう言う人に限って危ない——私はそう感じています。

厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査」によると、大学卒(管理・事務・技術職)の定年退職者が受け取る退職給付額は、1人平均で約1,896万円。これでも大きな金額ですが、報道の分析では2008年と比べて平均で数百万円規模の減少が指摘されています。かつての「退職金+年金で安泰」という前提は、少しずつ崩れています。だからこそ、限られた原資を”守る”意識が、以前より重くなっているのです。
(出典:厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査 結果の概況」)

② 高齢世代は、消費者トラブルの当事者になりやすい

2024年に全国の消費生活センター等へ寄せられた相談は約90.0万件。そのうち契約当事者が65歳以上の高齢者は33.1%を占め、年齢層別では70歳代が最多(15.8%)でした。相談件数の3件に1件が高齢世代、という現実があります。これは「高齢者が不注意だから」ではありません。まとまったお金を持ち、日中に家にいて、相談相手が減る——その状況が狙われやすいだけなのです。
(出典:消費者庁「令和7年版 消費者白書」/国民生活センター)

退職したばかりの高齢者は、時間もお金も生まれます。うちの父もそうでした。母とは4歳差があり、父が先に退職して年金暮らしに。一人の時間が増え、テレビと過ごす時間も増えました。すると、煙の出ない焼き肉機、電動の枝切り機……テレビショッピングで買ったものが、家に少しずつ増えていったのです。ちなみに煙の出ない焼き肉機は、家族で使ったとき、父が焼けていない肉を子どもたちに出し、指摘すると「焼けている」と言い張って生肉を一人で頬張っていました。結局その一回きり。笑い話ですが、時間とお金に余裕ができると、判断がゆるくなる——その入口が、日常の中にあるということです。

③ 詐欺被害は、過去最悪の水準

警察庁によると、2024年(令和6年)の特殊詐欺の被害額は約721.5億円と統計開始以降で過去最悪を更新。認知件数は20,987件で、被害者の65.4%が65歳以上でした。1件あたりの被害額は平均約349万円。さらに「警察官をかたる詐欺」が前年の4倍以上に急増しています。
(出典:警察庁「令和6年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」)

退職金という”まとまったお金”を持ち、判断の相談相手が減りがちな退職後は、残念ながら「狙われやすい時期」でもあります。しかも厄介なのは、近づいてくる側が、法律に違反しないギリギリのラインを突いてくること。商品購入も契約も、こちらが一度は「はい」と同意している形になるため、あとから「騙された」と言っても認められにくいのです。だからこそ、被害に「なってから」ではなく、守り方を先に知っておくことに意味があります。

親世代の資産が狙われる「5つの入口」

ここでは、実際に相談やトラブルが報告されている代表的な”入口”を、公的データとあわせて概観します。特定の商品や会社を「詐欺」と決めつけるものではありません。仕組みとコストを知り、「即決しない」ための材料としてお読みください。各項目に、よくある殺し文句/危険サイン/こう断るをまとめました。実家で話すときの台本として使ってください。

入口①|退職金をあてにした不動産・賃貸経営の勧誘

「退職金で始める安定の家賃収入」「年金の不足分を家賃でカバー」といった勧誘です。畑にアパートを建てて相続税対策に、というサブリース契約や、自宅を売って住み続けるリースバックなども、この仲間です。空室・修繕・金利上昇・地価下落のリスクが十分に説明されないまま、大きな借入とセットで契約に至り、後で「こんなはずでは」となる相談が寄せられています。

不動産に詳しくない人に、難しい言葉で、メリットばかりを並べ、デメリットは濁す。「退職金という資金」と「老後の不安」がそろっているところに差し込まれると、つい契約してしまう。先日も、建設中のマンションに「リースバック」を耳ざわりのいい言葉に言い換えた横断幕が掲げられていました。知らなければ、良い話に聞こえてしまう。退職金を”当てにした”不動産投資に、安易に手を出すべきではない——私はそう考えています。知人からは、退職金でワンルームマンション投資をして破産し、残された家族に借金だけが残り、母親が75歳を過ぎてもアパートで一人、返済を続けている、という話も聞きました。家族のために始めたはずなのに、です。

  • よくある殺し文句:「今の低金利のうちだけ」「節税にもなります」「満室保証があるので安心」
  • 危険サイン:数千万円の借入を前提にしている/「今日決めれば」と急かす/リスクの紙をさっと流す
  • こう断る:「大きな借入は家族に相談してからと決めているので、資料だけ置いていってください」

入口②|相続税対策として勧められる変額保険・外貨建て保険

「相続対策になります」と、変額保険や外貨建て保険(いわゆるユニット・リンク型など)を勧められるケースです。国民生活センターには、為替変動リスクや手数料の負担を理解しないまま契約した、「老後資金」「元本保証を希望」という意向と違う勧誘を受けた、という相談が高齢者を中心に寄せられています。生命保険協会の集計でも、銀行など代理店経由の外貨建て保険の苦情理由は「元本割れリスク(約37%)」「適合性の確認(約14%)」「預金との誤認(約8%)」などが上位です。保険=必ず安全、ではないという点が要注意です。

今でこそ、つみたてNISAをきっかけに株式投資や資産運用が身近になりましたが、親世代が現役だったのはデフレの真っただ中。金利もつかず、株価も上がらない30年でした。1株から買える仕組みも、ここ最近の話。だから「株式投資は怖いもの、手を出してはいけないもの」という感覚が根強い。ところが、保険にはむしろ厚い信頼を置いているのが親世代です。「保険はきちんとかけておくもの」という空気の中で生きてきましたから。中身はよく分からなくても、”得するなら”と入ってしまう。長年つき合いのある保険営業や、農協・地域の銀行にすすめられると断りにくく、手数料の高さは二の次になりがちです。変額保険・外貨建て保険を噛み砕いて説明されても、本当に理解できる人は多くありません。

  • よくある殺し文句:「銀行の定期より増えます」「相続のとき有利です」「元本は基本的に守られます」
  • 危険サイン:「保険」なのに「運用」「利回り」を強調/手数料の説明があいまい/預金の満期に合わせて勧めてくる
  • こう断る:「為替と手数料のリスクを書面でください。読んでから家族と検討します」

(出典:国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています」/生命保険協会「銀行等代理店における外貨建保険の苦情動向」)

入口③|オフショア保険(海外の保険商品)の勧誘

「日本より利回りが高い」と紹介される、海外籍の保険・積立商品です。日本の金融庁の許可を受けていない業者による国内での勧誘は法令上の問題があり得るほか、トラブルが起きても日本の制度で救済されにくいという構造的なリスクがあります。紹介者に高い手数料が入る仕組みのこともあり、魅力的な数字だけで判断しないことが大切です。

大学時代の親しい友人が、こんな話をしてきました。「俺、10年前から海外の銀行に月10万円積み立てているんだ。利回りも高いし、安全らしいよ」。私が「なんて商品なの?」と聞くと、「名前はよく分からないけど、とりあえず続けてる」「子どもが大学を卒業する頃には1億くらいになる計算なんだ」。「今いくら積み上がっているか、ネットで見られるの?」「いや、それは分からない」。——確認すらできない状態で、よく自信をもって続けられるな、というのが正直な感想でした。

気になったので、計算してみました。月10万円を20年間積み立てても、拠出する元本は2,400万円(10万円 × 12か月 × 20年)。これが1億円になるには、年利にして約12.8%の運用が20年間ずっと続く必要があります。参考までに、年5%で回っても20年後は約4,058万円。それでも十分立派な数字です。つまり「安全に・確実に1億」という触れ込みは、数字の上でそもそも成り立ちにくい。少し電卓を叩けば見えてくることなのに、”いい話”の前では、その一手間が飛んでしまうのです。

この話を聞いたのは3年前。年に一度サウナで会うたびに、やんわり見直しをすすめていますが、なかなか踏み切れない。もう本人も、やめられないところまで来ているのかもしれません。特に狙われるのは、退職金を手にする60代前半。別の友人も、退職した父親からすすめられたと言っていました。オフショア保険かどうかは定かではありませんが、こうした”確認できない商品”は、どこにでも紛れているということです。

  • よくある殺し文句:「富裕層はみんなやっている」「日本の保険は損」「紹介制なので特別に」
  • 危険サイン:契約書が英語/窓口が個人や紹介者/今いくらか”確認できない”/「金融庁は関係ない」と言う
  • こう断る:「日本で認可された商品でなければ検討しません」

入口④|手数料の高い投資信託・ラップ口座

「プロにお任せ」型の商品や、購入時手数料・信託報酬が高い投資信託です。商品自体が悪いわけではありませんが、手数料は確実に、毎年、資産を削ります同じような中身でも、低コストの選択肢が存在することは知っておいて損はありません(後半でふれます)。

たとえば、こんな流れは典型的です。銀行の窓口で「退職金の運用に、ぜひ」とすすめられ、複数の投資信託やラップ口座を契約する。あとで明細をよく見ると、購入時に数%の手数料がかかり、毎年の信託報酬も高めのタイプだった。値下がりも重なって、気づけば元本を下回っていた——。違法ではありません。ただ、“すすめられるまま”契約すると、こうしたコストが後からじわじわ効いてくるのです。しかも、一度契約すると、解約するのは心理的にも手続き的にも簡単ではありません。

  • よくある殺し文句:「プロが運用するので安心」「今が買い時」「特別なファンドです」
  • 危険サイン:購入時手数料が数%/信託報酬が年1%超/中身(何に投資しているか)を説明できない
  • こう断る:「手数料(購入時・年間)を数字で教えてください。低コストの商品と比べてから決めます」

入口⑤|訪問販売・電話勧誘

冒頭でふれた、わが家の父のケースがこれです。父が先に退職して家にいるようになったある日、母から連絡が来ました。「お父さんが太陽光パネルを設置しようとか言うんだよ」「知らない人が家に来て、パンフレットを置いていった」「電話でいろいろ質問されて、そのあと家に来て話していったみたい」。太陽光で売電すれば電気代がタダになる、蓄電池にためて売れば収入になる——。結局、契約寸前で私が間に入り、詳しく聞いていくと、採算の合わない説明ばかり。それでも父は営業マンを信じ切っていて、家族の前で「俺がいいって言ってるんだ」と怒鳴る始末。自分の非を認められず、感情的になる。一度は契約書に印を押しましたが、翌日に取り消すことができました。もう、懲り懲りです。

手口がいやらしいんです。自宅で太陽光の話をしている最中、こちらが迷っていると、突然、営業マンのスマホに電話が。「承知いたしました。すぐ手配します」。訳を聞くと「先週この近くで契約されたお客様が、”こんなに安く始められるならぜひ”と追加のご連絡を」。それを聞くと「やっぱり、始めたほうがいいのかな」と思ってしまう。うちの父が、まさにそうでした。

それだけではありません。外壁塗装の訪問営業にも、危うくやられかけました。実家は築25年で、外壁が日焼けしてきている。年数的には当然なのですが、そういう家を狙って訪問し、外壁塗装だけで400万円の見積もり。相場を調べると、だいたい130万〜170万円ほどでできるものらしい。でも、素人にその相場は分かりません。あわや契約、というところで、近所に最近塗装した家があり、そこから話を聞けたおかげで「それは高すぎる」と踏みとどまれました。相場を知る”比較先”があるかどうかが、分かれ目でした。

リフォーム、健康食品、投資話——手口はさまざまですが、共通するのは「今だけ」「あなただけ」と急がせることです。

  • よくある殺し文句:「今日契約すれば割引」「近所も皆やっている」「無料点検だけでも」
  • 危険サイン:アポなし訪問/その場でのサインを求める/帰ってくれない
  • こう断る:「訪問での契約はしない決まりです」ときっぱり。玄関を開ける前に、インターホン越しで断ってよい

💡 覚えておきたい:クーリング・オフ
訪問販売や電話勧誘で契約してしまっても、法律で定められた書面を受け取った日から原則8日以内なら、書面(ハガキや電子メール等)で無条件に解約できます(訪問販売・電話勧誘販売の場合)。父の太陽光も、これで翌日に取り消せました。「もう契約したから」とあきらめる前に、下記の窓口へ。期間や対象は契約の種類で異なるため、迷ったら188で確認するのが確実です。

実際の相談事例は、公的サイトで見られます

「うちの親は大丈夫」と思う前に、一度、実際の相談事例に目を通しておくと、危険の”手ざわり”が分かります。国(公的機関)が、匿名化した相談事例や注意喚起を無料で公開しています。ブックマークしておき、親と一緒に眺めるのもおすすめです。

  • 国民生活センター「相談事例・判例」:手口別・商品別の実際の相談事例と対処法( https://www.kokusen.go.jp/category/jirei.html )
  • 国民生活センター「高齢者の消費者被害(テーマ別特集)」:高齢者に多いトラブルをまとめて確認( https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/koureisha.html )
  • 事故情報データバンク(消費者庁・国民生活センター):商品・サービスの事故やトラブル情報を検索( https://www.kokusen.go.jp/jikojoho_db/ )

なぜ退職後は「狙われやすい」のか

消費者庁の白書は、高齢期には「加齢に伴う判断能力の変化」「社会的なつながりの減少(孤立)」が消費者トラブルの背景になりうると分析しています。悪意のある勧誘は、まさにこの“判断の相談相手がいない瞬間”を狙ってきます。日中ひとりで在宅している、退職して同僚に気軽に聞けなくなった、配偶者を亡くして相談相手が減った——そうした変化のすき間に、入り込んでくるのです。
(出典:消費者庁「令和5年版 消費者白書」高齢者の性質と消費者トラブル)

私の父も、正直、判断能力は少しずつ落ちていると感じます。あんなに強く見えた背中が、年々小さく見える。それ以上に、いくつもの失敗を重ねて、本人が自信を失っているのが分かります。プライドの高い父ですから、失敗を認めたくない。すると、誰にも相談できず、次の勧誘にまた一人で向き合ってしまう。ここに落とし穴があります。これは「父が弱いから」ではありません。誰にでも起こりうる、構造の問題です。だからこそ、子世代が”相談できる相手”としてそばにいることが、いちばんの防御になります。月に一度、電話で「変な勧誘なかった?」と聞くだけでも、立派な抑止力です。

子世代が今日からできる「守る」4ステップ

ステップ1|お金の”在りか”だけ、ゆるく共有しておく

金額を細かく聞き出す必要はありません。「どこの銀行・証券にあるか」「保険は何に入っているか」を、ざっくり共有しておくだけで、いざという時に守れます。切り出しにくければ、「もしものとき私が困らないように、置き場所だけ教えて」と、自分側の理由にするとスムーズです。

わが家では、父のほうから話してくれます。「現金は自宅の金庫。証券口座は持っていない。銀行は2つにまとめた。保険は、俺が死んだとき用に少し入っている」。正直、その死亡保険は必要かなと思う部分もありますが、父が”残したい”と思ってやっていることなので、そこは尊重しています。大事なのは金額の管理ではなく、ざっくり把握しておくことで、違和感を感じたときにサラッと聞ける”フック”を持っておくことです。

ステップ2|相談窓口を、親のスマホに登録しておく

困ったときのために、次の窓口を親のスマホの連絡先に入れておきましょう。「契約する前に、まずここへ電話」と決めておくだけで、安心感が違います。

  • 消費者ホットライン「188(いやや!)」:商品・契約のトラブル全般。最寄りの消費生活センターにつながります
  • 警察相談専用電話「#9110」:詐欺かも、しつこい勧誘が怖い、というとき(緊急は110番)
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:保険・投資など金融商品の勧誘や契約の相談
  • 地域包括支援センター:離れて暮らす親の見守りや、高齢者の困りごと全般の相談窓口
  • 法テラス:契約トラブルで法的な相談が必要になったとき

ステップ3|「大きな契約は、その場で決めない」を家族のルールに

不動産・保険・まとまった投資は、必ず一度持ち帰る「子どもに相談してから」を口ぐせにしてもらう。これは親を縛るのではなく、断る”口実”をプレゼントすることでもあります。相手に悪気がなくても、即決を求める話は、いったん止まるだけで多くのトラブルを防げます。

父は、ここが本当に危ない。母が気づいて教えてくれるから助かっていますが、知らない間にウォーターサーバーが家にあったこともあります。だから私は、父には口を酸っぱくして「大きな話は一度持ち帰って」と伝え、母には「何かあったら、こっそり教えてね」とお願いしています。家族の中に”もう一人の目”を置く。これだけで、防げることは驚くほど多いです。

ステップ4|”増やす”なら、シンプルで低コストに

どうしても運用したいときは、複雑で手数料の高い商品ではなく、中身が分かる・コストが低い方法を選ぶ。国が用意した新NISAの非課税メリットを、余裕資金の範囲で活かすのが基本形です。

親と確認したいことチェックリスト

  • お金の”在りか”(銀行・証券・保険)をざっくり共有した
  • 188 / #9110 をスマホに登録した
  • 「大きな契約は即決しない」を約束した
  • 最近、心当たりのない勧誘・電話・訪問がないか聞いた
  • 保険や投資で「よく分からないまま入っている」ものがないか確認した

「守る」の最終形は、シンプルで低コスト

高い手数料の商品を勧められて迷ったら、思い出してほしいことがあります。手数料の差は、時間が味方ではなく敵になりますたとえば年1.5%の手数料と年0.1%台の手数料では、同じ運用でも10年20年で数十万〜数百万円の差になり得ます。増やすつもりが、手数料で静かに削られていた——退職世代で、これは避けたい失敗です。

だからわが家は、「誰かにお任せ」ではなく、自分で選べる・コストの低いネット証券で、余裕資金の一部を新NISAで積み立てる形にしました。中身の分かる低コストの投資信託(全世界株式や米国株式のインデックス型など)を、無理のない範囲で。派手さはありませんが、”奪われない”という意味では、これがいちばん強い守りだと感じています。

私が父や母にすすめているのはSBI証券です。手数料が低く、少額から始められ、画面も比較的シンプルなので、退職世代の親と一緒に口座を確認するのにも向いていました。実は父や母の場合、今から大きく”増やす”必要があるわけではありません。それでも、よく分からない保険商品や投資話に乗りそうになるくらいなら、自分の目で見える形で持っておくほうがずっと安心だよね、と家族で話しています。年金生活だと、少しの不労収入が暮らしをぐっと楽にします。単元未満株(1株から買える仕組み)を使えば、高配当株にも小さく始められる。もちろん株価の変動や減配のリスクはありますし、何にどれだけ回すかは、必ずご自身・ご家族で判断してください。判断に迷う場合は、中立の相談窓口や有資格の専門家に相談するのが安全です。

SBI証券[旧イー・トレード証券]

大切なのは、「増やす」より前に「減らさない・奪われない」。その順番です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 親がすでに契約してしまいました。もう解約できませんか?

あきらめる前に、まず窓口へ。訪問販売や電話勧誘なら、書面受領から原則8日以内はクーリング・オフが可能です。8日を過ぎても、「うその説明(不実告知)があった」「判断力が十分でない状態で契約させられた」などの事情があれば、契約の取り消しが認められる場合があります。自己判断せず、188(消費者ホットライン)に相談してください。契約書・パンフレット・やりとりのメモは、捨てずに残しておきましょう。

Q2. 親の判断力の低下(認知症など)が心配です。どう備えれば?

判断力が落ちてからでは、対策の選択肢が狭まります。元気なうちに、家族信託(信頼できる家族に財産管理を託す仕組み)や、任意後見・成年後見制度を知っておくと安心です。日常のお金の管理に不安が出てきたら、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」も選択肢になります。制度は専門的なので、地域包括支援センターや専門家(司法書士・弁護士など)に早めに相談を。

Q3. 遠方に住んでいて、頻繁に会えません。できることは?

距離があっても、できることはあります。①月1回の定期連絡で「変な勧誘なかった?」と聞く、②お金の”在りか”だけ共有しておく、③親の住む自治体の地域包括支援センターを調べておく、④郵便物やカレンダーに見慣れない業者名がないか帰省時にチェック。わが家も、母という”もう一人の目”に助けられています。近くに味方を一人つくっておくことが、遠方の不安を減らします。

Q4.「うちの親に限って大丈夫」と思ってしまいます。

その感覚こそ、いちばん危ないかもしれません。消費生活相談の3件に1件は高齢世代、特殊詐欺の被害者の65.4%は65歳以上(いずれも公的データ)。父も「うちには取られるお金はない」と言い続けていました。“自分は大丈夫”という思い込みが、相談をためらわせ、被害を大きくします。まずは実際の相談事例(前述の国民生活センターのサイト)を、親と一緒に眺めてみてください。

Q5. 結局、退職金はどうするのが正解ですか?

「増やす」より先に「減らさない・奪われない」。まずは当面の生活費(生活防衛資金)を預貯金で確保し、使う予定のない余裕資金の範囲で、低コストの新NISAをシンプルに——が基本の型です。複雑で手数料の高い商品や、”確認できない”商品には近づかない。正解は人それぞれですが、順番だけは共通です。

まとめ|親の資産を守ることは、いちばん静かな親孝行

退職後の資産を守るために、今日できることを振り返ります。

  • 退職金は昔より減り、高齢世代は消費者トラブル・詐欺の被害に遭いやすい(公的データが示す事実)
  • 狙われる入口は、不動産勧誘・変額/外貨建て保険・オフショア保険・高手数料商品・訪問/電話勧誘
  • 退職後は判断力の変化と孤立を狙われやすい。だから子世代が”相談相手”になる
  • できることは4つ:在りかの共有/窓口の登録(188・#9110)/即決しないルール/増やすなら低コストで

お金の話は、親子でも切り出しにくいものです。でも、「明細を1枚、一緒に見てみよう」の一言は、りっぱな親孝行だと思います。まずはこの週末、実家に帰ったときに、そっと聞いてみてください。あなたのその一歩が、親の大切な資産を守ります。

今日も、あなたと、あなたの大切な人の暮らしに、彩りとゆたかさがありますように。


あわせて読みたい

  • 年金生活を楽にする”固定費見直し”の順番【入口記事】
  • “持ちたくない”母のスマホを乗り換えた話|シニアの格安SIM

この記事の出典(一次情報)

  • 厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査 結果の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/
  • 消費者庁「令和7年版 消費者白書」/国民生活センター(高齢者の消費生活相談) https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/koureisha.html
  • 警察庁「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」 https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf
  • 国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200220_2.html
  • 生命保険協会「銀行等代理店における外貨建保険の苦情動向」 https://www.seiho.or.jp/info/news/2019/pdf/20200221.pdf
  • 消費者庁「令和5年版 消費者白書」高齢者の性質と消費者トラブル https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2023/white_paper_140.html
  • 国民生活センター「相談事例・判例」/「事故情報データバンク」 https://www.kokusen.go.jp/category/jirei.html
  • 消費者庁 消費者ホットライン「188」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/
  • 警察相談専用電話「#9110」(警察庁) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/

🐾 ラッフィに質問してみよう!

記事のこと、お金・暮らし・子育てのこと、なんでも気軽に送ってみてね。ラッフィ(いろどりゆたか)が答えます!

📩 ラッフィに質問する

コメント

タイトルとURLをコピーしました