ある日、長女がぽつりとつぶやきました。
「もう、学校に行きたくない」
理由を聞くと、仲の良かった友達2人が、長女のいない時に机の中やランドセルを勝手にあさっていたそうなんです。
他の友達がそれを見ていて担任の先生に相談。先生が間に入って相手からは謝罪があったそう。
長女は「謝られたけど…なんかモヤモヤする」と。
長女にとって、ランドセルや机の中は学校で唯一自分だけの安心できる場所。そこを信頼していた友達に勝手に見られたことでかなりショックが大きかったそうです。
謝ったからそれで終わり、という話ではありません。一度越えてしまった“心のライン”は、謝罪だけで元には戻らない――それが「境界線」の重さです。
なぜ、そんなことをしてしまったのか?
悪気がなかったのかもしれません。興味本位で「ちょっと見ただけ」「からかっただけ」だったのかもしれません。
でも――それは相手が“嫌だ”と思うかどうかが大事なのです。
境界線を越えた、もっと重たい事例もあります
児童福祉の相談員をしていた頃、こんなことがありました。
中学生の男の子が、同級生の女の子の家に勝手に入り込み、下着を盗んだのです。
好意を抱いていた相手だったようですが、それは恋ではなく、境界線を大きく踏み越えた行為です。
防犯カメラに映っていたことで発覚し、警察が介入。転校や施設入所といった深刻な結果に繋がった可能性もあります。
一度の「越えてはいけない行動」で、たくさんの大切なもの――信頼、未来、居場所――を失うこともあるのです。
「何もしてないのに嫌われる」…本当にそう?
別の相談では、「何もしてないのにクラスで嫌われてしまう」と男の子は言います。
しかし実際には――
- 他人の物を勝手に使ってしまう
- 借りたものを返さない
- 距離感がつかめず、相手を強く叩いたり押したりしてしまう
本人に悪意はないのですが、「していいこと」と「してはいけないこと」の境界線がわからないことで、トラブルが続いていたのです。
境界線を越える行為とは?
境界線とは、「ここから先は入ってこないでほしい」という心や体の“安心のライン”です。
それを越えてしまうと、相手はこう感じます
- 怖い
- 悲しい
- 憤りを感じる
- 信じられなくなる
例えば――
- いきなり殴る、蹴る
- 暴言を吐く
- 無理やりカバンを開ける
- 嫌がっているのに、しつこく付きまとう
「冗談だった」「ちょっと触っただけ」では済まされないのが、境界線を越えるという行為です。
最後に伝えたいこと
もし、あなたの大切な人、恋人や家族、親友が、
嫌がっているのに無理やり誰かに連れて行かれそうになったら、あなたはどうしますか?
きっと怒るでしょう。守ろうとするはずです。
では、あなた自身が、その人に同じことをしていないでしょうか?
境界線を守ることは、「相手を大切にする」という気持ちのあらわれです。恋愛でも、友情でも、家族でも同じ。
でも、「境界線」という言葉ってあまり日常では使いませんよね。
実は、私たちが生活している中には目には見えない“たくさんの境界線”が存在しているのです。
それに気づかずにいると、知らず知らずのうちに誰かを傷つけたり、自分がつらい思いをしたりすることもあります。
次回の予告
次回のパート2では、
- そもそも「境界線」とは何か?
- 社会的・心理的・物理的・性的な境界線の種類
- 日常生活の中に潜む“見えない線”
そんなテーマでお届けします。どうぞお楽しみに。
【ラッフィのひとこと】
「好き」や「仲良し」って気持ちがあるなら、そっと相手の心を大切にしてあげよう。
境界線を守ることは、信頼のタネを育てることだよ🌱

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